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「ねえ。名前なんて読むの?」
「えっ。陽葵(ひまり)。」
「へえ、ひまりって読むんだ。」
「うん。」
陽葵はおっとりした性格で、人見知りな性格ではないが、はじめて会うクラスメイトとどうやって友達になろうかと緊張し過ぎてしまってうまくしゃべることが出来なかった。
地元の高校には進学をせず、都会の進学校を選んだ陽葵には、この学校での友達は一人もいない。
友達はこれから作っていかなければならなかった。
高校生活初日、教室に入ると机上に一人一人の名前が貼ってあり、黒板には「自分の名前が貼ってある席に着席して下さい。」と書かれていた。
となりの席の男子が陽葵の名前を見て、声をかけてきたのだ。
確かに、陽葵という漢字は読めない人が多い。
彼は、はじめて会った陽葵に、
「ねえ、名前・・・呼び捨てがいい?それともちゃんづけがいい?名字じゃなくて名前で呼ぶから。」
と、出会ったその日から名字ではなく名前で呼ぶという宣言をしたのだ。
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