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1アメノヨル
仕事終わり。
駅から家に帰る途中。
強い風に煽られて傘が吹き飛んだ。
傘の飛んでいった方を見ると、ひしゃげた傘だったものがまだ風に吹かれていた。
電車が動いててラッキーなんて思ってたのに、こんなところで傘を失うとは、まだ家までかなり距離がある。
冷たい雨は容赦なく私の服を濡らし服は私の体にペタペタと張り付きまとわりつく。
こんなことならけちらずにタクシーに乗れば良かったと後悔の念すらよぎるが手遅れであることは言うまでもない。
すると私の進行方向から足音が聞こえてきて振り返る。
かなり背の高い男性のようだ。
私の身長はだいたい155cm見上げても顔が見えない。
暗めのレインコートもあいまってかなり怖い。
わたしは会釈をして彼のとなりを横切り歩き始めた。
すると唐突に私のからだが後ろから抱えられる。
今の男性に抱えられていることに気づき私は暴れようとしたが足も腕もガッチリと抱え込まれていて、全く動けない。
動けないならと思い叫んだが強い雨風に私の声は掻き消されてしまっているようだ。
「降ろしてください!」
震えながらそう言っても男は反応を見せない。
いよいよ私は恐怖でそれ以上もう何も言えなかった。
無駄に抵抗したら殺されるかもしれない。
誰かとすれ違うかもしれないし、と淡い希望を抱いたが誰ともすれ違うことなく、私の家を通りすぎ、さらに3分ほど歩いたところにある1軒のおうちに連れてこられた。鍵を開けているところを見ると彼の家なのだろう。
私は鍵を開けるために小脇に抱えられていた、猫のように。
家にはいるなり玄関の小上がりに押し倒される。
『あー人生ここまでか。』なんて思っていたら私の服を優しく脱がして玄関の右側の扉の中へと放り込まれた。
彼も服を脱いで部屋に入ってきた。
脱衣場でその先がお風呂場のようだ。
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