二章 透明な思考

未定

　僕の人生は未定だ。このままサラリーマンをして、彼女と結婚して、子供を産んで、大人になって、おじいちゃんになって、仕事やめて、楽しい老後を過ごして、子供と孫に囲まれて死んでいくんだろうけど、そうじゃない可能性もある。

　考えてみると、そんなに未定でもない。結構予想できるじゃん。

　４月の朝の日差しは優しく、僕の瞼を柔らかくくすぐる。わかったよ、起きるから。

　隣に眠る彼女を起こさないようにそっとベッドを抜け出し、洗面所で顔を洗う。歯を磨く。冷蔵庫からベーコンと卵を取り出し、フライパンを熱にかける。油を敷き、ベーコン、卵を投入。痛めている間にケトルでお湯を沸かす。コップを二つ用意し、ティーバッグを入れる。

　僕はこの効率良く朝食を作る時間がとても好きだ。