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その春、私は2つの絶望を抱えていた。
1つは、大学の研究で結果が全く出ないこと。よくある話だが、良くない話だ。
学部時代に中堅私大に通っていた私は、大学院に進むタイミングでレベルの高い国公立を選んだ。生物系の研究をするにはどうしても高級な実験機器が揃っている所に行く方がいいし、何より興味のある研究ができる場所だったからだ。
日夜、文字通り昼夜問わず、ピペットを動かし、試験管を振り、データを解析した。学生が少ない研究室で、実験部隊は私以外に助教授やポスドクだけ。相当な負担だったが、ずっとやりたかったことだから、と自分に言い聞かせて楽しもうしていた。
なかなか、論文にできるデータが揃うことはなかった。
最先端の研究だから、というのもあるし、そもそも私にとってはとてつもなく難易度の高い研究内容で、ついていくだけで大変だったのだ。
名前通り本当に雪みたいだね、子供の頃はそう言ってもらっていた肌にはにきびが浮かび、目の下にはいつも黒いクマがあって。それとは関係なく、実験は失敗し続けた。
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