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1 悠に初めて会った日
「これが、αクラスの教科書だ」
クラスが変わると連絡を受け、朝、職員室に行くと、新しく担任になる右京先生が淡々と言った。
αβΩという性別の階級があり、それぞれに男女がある。人類の大多数がβ。αは人類で最高の頭脳と高い身体能力を持つ。ここがヒエラルキーのトップ。ほとんどの組織のトップもほぼαだ。
Ωは生殖に優れていて、男女ともに成人していれば誰とでも交尾ができて誰の子供でも産める。ただし、人類はいつの時代も性の対象となる相手を低く見がちだ。その結果、Ωはエラルキーの最下層に置かれ、何かと差別される。
これまで自分はΩだと思っていたから、それが普通だった。両親がΩだったから、皆からもΩだと思われていた。
でも、これからはαとして扱われる。
まだよくわからなかった。
Ωクラスにいたとき、何か違うような気はしていた。Ωクラスのクラスメートは、何を考えているのかわからない。考え方が順序立ててなくて、異次元から思考がやってくる。
でも、Ω同士は意思疎通ができているようだった。自分だけ仲間外れにされたような気分になっていた。遺伝子検査で本当に違っていたという結果が出て、驚くよりも、納得のいく解答が得られたという感じがした。
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