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……我ながら、なんの為の闘いなのだろうと思う。
その出会いは入学式も終わり、列車通学の初日だった。
私は、蒼先輩の存在にすぐに気付いた。と言うより、惹きつけられた。もちろん、私だけではなかったのだけれど……
朝の列車の中のざわめきは、蒼先輩の登場で黄色とピンク色が混ざったものになった。
列車の通路を歩いてくる蒼先輩から、目が離せなかった。
スラリとした長身に、長い手足。切れ長の瞳は涼しげだけど、薄すぎない唇は冷たさを感じない。通った鼻筋は、蒼先輩の横顔を美しく見せる。
簡単に言えば「めちゃめちゃカッコいいっ!!」のだ。
私が一番惹かれたのは、蒼先輩のサラサラで艶やかな黒髪だ。天使の輪は標準装備だろう。全体的に短めで清潔感があるのだけれど、前髪だけが少し長めだ。
それを時折、指で避けたりするとサラッと前髪が揺れて、切れ長の澄んだ瞳がのぞく。……カッコいい……
その柔らかそうな髪に、触れてみたい。頭を、撫でてみたい……
できるはずもないそんな事を、ついつい考えしまう自分に驚いた。
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