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3限目 恋を捧げて愛を待つ
昔から大好きなアニメがあった。
見始めたきっかけは友達がそのアニメを見てたからって単純な理由で、あまり上品な内容じゃなかったからお母さんには良い顔をされなかったけど、両親共に家に居る時間の方が少なかったからこっそりと見ては楽しんでいた。
あまりにも私がしつこくねだり続けた事もあって、そのうち根負けした両親と一緒に映画も観に行って、そしたら家族揃って号泣した。「俺も年を取ったなぁ」なんて目頭を押さえたお父さん、あの時初めて見たなぁ。
大人になったら「アニメなんて」って馬鹿にする人が増えるけど、なんだかんだでみんな好きなんだなぁって嬉しくなったのを今でも覚えてる。
それが今から大体10年くらい前の事。将来私が子供を産んだら親子三代で見に行こうって決めた小学校低学年の春の事。そしてその年の夏休み明け、漫画の原作者さんが不慮の事故で亡くなられた。身近な誰かの死を体験した事の無い当時の私は【死】という概念が薄くて、理解するまでに時間はかかったのだけれど。
だって、アニメは続いていたのだ。私の中でアニメと漫画は全て原作者さんがつくっているものだと思っていたから、皆して私を騙そうとしてるんじゃないかとか、果てはこのアニメは幽霊がつくっているのかなんて見当違いなことも思った。
ようやく飲み込めた時にはすごく悲しくて、するとこれまで平気だったのに、急に一人で家に居るのが怖くなった。しばらくの間、家事を済ませた家政婦さんが帰ってしまった後、両親の帰宅を今か今かと待つようになっていた。
今では家に一人でも平気だし、家政婦さんの手が無くとも家事をこなせるようになったけど、当時は本当に怖かったのだ。何が怖いのかは説明できないけどなんとなく怖いって思う、子供がみる悪夢のような、隣合わせに潜んでいる恐怖を感じていた…おっと、閑話休題、閑話休題。
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