3限目 恋を捧げて愛を待つ

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「よっしりーん!遊びに来たよーっ!」    扉に取り付けられた小さなすりガラスから明かりが漏れているだけで嬉しくなって、満面の笑みで生徒指導室の扉をガラリと開け放つ。途端に目に入るのは長辺を合わせた2つの長机と3つのパイプ椅子、そして六畳ほどの狭い教室の奥には寒々しい銀色の教卓に似たデスクとキャスター付きのオフィスチェアー。椅子は空気圧で高さが調節できるやつ。ちなみに背もたれとひじ掛けもあって、クッションの色はブルーグレー。 「廊下を走るな。扉はもう少し静かに開閉しろ。もし大学関係者が来ていたらどうするつもりだ。」  少しくすんだ青に座ったままに淡々とした口調で叱るのは、この学校の生徒指導担当で生徒指導室の火元管理者で担当科目は現国であとはえーと…とにかく私の好きな人! 「えへへぇ~よしりん優しーい!」 「…そう思うなら素直に従え。」  神経質そうな三角眼鏡を指で押し上げた七三分けの教師に叱られたからといって、落ち込む必要はない。だってこの人が叱る時は、相手を真剣に思ってのことだから。
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