3限目 恋を捧げて愛を待つ

5/13
前へ
/123ページ
次へ
 誤解されやすいというか本人が気にしてないというか。よしりん??基、増本芳樹先生は周りから好かれていない。ちゃんと向き合って話してみたらすごく優しくて真剣に相手をしてくれる教師だって事が分かるんだけど、みんなそもそも近付こうとしない。  干渉されるのが嫌いな高校生にとっては苦手なタイプだろうなと本人も分かってるのについつい余計なお節介をしてしまうんだから、ホントに不器用で可愛い人だと思う。しかもそのお節介の内容が細かいから聞いてる方はなんだかお小言を受けてるみたいだし、口調も淡々としてるから向かい合って話しかけられたら威圧が強い。  もう少し優しく言えば良いのにって笑ったら、その翌日にゆっくり話そうと心がけてる姿を職員室で見てしまった。相手がのんびりした性格のサトセンだったこともあるのかもしれないけど、なんだかお年寄り相手に言い包めているようにも見えて、ぶっちゃけ生意気な学生みたいだった。面白すぎて職員室の入口で蹲って笑っていたのはよしりんには内緒だ。  面白かったし内緒だけど、でも、律儀に私の言ったことを実行に移してくれた事は嬉しかった。  いつも聞き流しているように見えるけど、嫌な顔はされるけど、ちゃんと私の話を聞いてくれてる。その事がすごく。  その日の放課後、「やっぱりよしりんはいつものキレがあるしゃべり方の方が良いね」って言ったら、「そうか」なんて素っ気なく返しながらホッと息をついてたから、自分でも違和感があったんだろうなぁ。半年くらい前のことだけど、今でも思い出したら面白くて笑っちゃうエピソードだ。
/123ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加