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いったい、なんだったのだ。いったいなんなのだこれは。
あんな会話のあと、神原くんと二人で残されて、私はまだ混乱から抜け出せずにいた。
「…あの、」
なんとか声をかけようとしたら、神原くんが盛大に息を吐いて、その場に蹲った。
「えっ?あの、」
近付くと掴まれたままだった腕を引っ張られて、私もバランスを崩して倒れこむ。
ぎゅって抱きしめられた。
「ほんっとなにしてんの、きむら」
「ええっと、あれ、あの、陽くんは中学の同級生で、」
「知らないよそんなの、知ってるけど!なんなのマジで、俺のことからかってんの?」
言葉の端々に苛立ちを感じて、ビクリと震える。
「ご、ごめ……」
「……、木村は、俺のこと好きじゃないのかもしれないけど、ほんと、俺の前で他の男とああゆうことすんのは、やめてほしい」
「……え?」
「……うざいとか、言わないで。頼むから」
なんだか言葉に切実さが詰め込まれていて、私は目の前がぐるぐるするのを何とか抑える。
「い、言わない、けど」
「……けど、なに」
なに、と言われて、私はごくりと喉を鳴らして、先ほど浮上した可能性を恐る恐る口に出す。
「か、神原くん、私のこと好きなの?」
「はぁ!?」
間髪いれずに返事が返ってきて、また震える。
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