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別にこんなの大したことじゃない。
子供のころからシェアなんてよくしていた。
けれど、ふいにさっき神原くんのアイスをもらったときのことを思い出して――嫌だと思った。
まさか、陽くんに対してそんな拒絶反応が出るなんて思いもしなかったし、神原くんに見られているなんて考えてもみなかった。
まさか、陽くんが引っ張るのよりずっと強い力で引き戻されるなんて、本当に予想外だったのだ。
「……っに、してんの」
怒鳴り声が耳に入ったとき、私はまだ茫然としていて、いつもよりずっと険しい神原くんの顔をただ見てることしかできなかった。
「……え、」
「……胸糞悪い」
神原くんがバラオらしからぬ暴言を吐いて、ギュッと拳を握りながら、陽くんをきつく睨んでいるのを見ても、まだ私は状況を理解できないでいた。
「か、神原くん、あの」
ただ、このままでは神原くんが陽くんを殴ってしまうのではないかと思われて、そんなことあるわけないけど本当にそんな勢いだったので、とりあえず腕をつかんだ。
「あの、別に乱暴されたわけでは、」
ないよ?もしかたら客観的にはそう見えたのかもと思いながら引っ張ると「わかってるよ、そんなの」と吐き捨てた。
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