2.Morning Paper

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 気が付いたら、実家の自分の部屋のベッドの上にいた。  土日も含めて一週間で睡眠時間が平均10時間、という労働状態を3週間ほど続けたあたりのことだった。  僕は、朝焼けの差し込む会社で作りあげたプレゼン資料と投影用のパソコンではち切れそうな革の鞄を持って、取引先のある駅に降り立った。  改札を出て左側にある階段を降りるとすぐそこに取引先がある。  改札を出たところまではなんとか記憶があるのだが、そこからとんと覚えていない。  次に目を開けた時には、実家の自分の部屋だったのだ。  壁には、高校生の時に好きだったバンドのポスターがいびつな角度で貼ってある。  深い眠りから突然起こされたような混乱した頭の中で、 『最近忙しくてしばらく実家に帰れていなかったから、帰ってこられてよかったなあ』  というようなことをぼんやり考えていた。  東向きの窓から日が差している。  朝、10時くらいだろうか。
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