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その時、固定電話が剣呑な音で鳴り出した。
母親が電話を取りにソファを立つ。
僕は入れ替わりでソファに座りながら、いつまでも寝ぼけ終わらない混乱した記憶を呼び起こしていた。
んー、どうやって帰ってきたんだっけなあ。
電話の相手は父親だろうか。
父親は仕事でしょっちゅう海外出張に出かけている。今もジャカルタだかバンコクだかに行っているはずだ。
国際電話をかける時は固定電話で電話する方がいい、というようなことを言っていた気がする。
そんなことを思い出せるくらいに頭は回っているのに、自分が帰ってきた理由とどうやって帰ってきたかがまったく思い出せない。
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