【ランバート編】拒絶の背(ファウスト)

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【ランバート編】拒絶の背(ファウスト)

 バロッサ発の事件はシーザー・バインズとその側近レーティスの策謀ということで話がついた。  だが、そこで突如垂れ込めた暗雲は未だ晴れていない。  遠征休暇前日の夜、ランバートは三日の外泊届を出してどこへ行くとも言わずにいなくなってしまった。当然、話も出来はしなかった。 「はぁ…」  何度目になるか分からない溜息をついて、ファウストは肩を落とした。正直、食事も喉を通らない。眠りも浅い気がする。こんなのは久しぶりだった。 「お前一人で湿度を上げるな、馬鹿者。どうしてお前は短慮なのだ」  事後処理が終わった騎兵府の執務室に、シウスとクラウルがいる。シウスは呆れ、クラウルは気遣わしい顔をしている。 「あの坊やは悩めばトコトンじゃ。しかも迷走して、自分だけで答えを出す。お前と付き合う切っ掛けになった時を思えば分かる事ではないか」 「分かっていたんだ…」 「分かってないからこういう事態を引き起こすのじゃ」 「……」  言い返す言葉がない。ファウストは更に肩を落とした。 「あまり気落ちするな、ファウスト。まだ何か、決定的な事を言われた訳ではないんだろ?」 「それを言われていたら今頃俺はここにいない」     
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