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きっと彼のことだから、彼女が出来たと言えば、今後は配達以外では来なくていいと言ってくれるだろう。今はほとんど洗濯とオナニーくらいにしか使ってない部屋に戻って、普通の生活を再開する。一人で、あの空間に。
(……なんか、想像つかないな)
喜ぶべきところなんだろう。
本当なら男二人で暮らすなんて暑苦しい。シェアハウスならまだしも、一つのベッドで一緒に寝たりして。
だけど慣れてしまったからなのか、感覚が麻痺しているのか、犬飼との生活を壊してまで彼女を作る想像が出来ない。最初から一ヶ月という期限があったのに、いつの間にかそれを忘れていて、なんとなくこの先も犬飼家に帰ると思っていた。
(犬飼さんの小説……一ヶ月で書ききれなかったら、俺はまだ居てもいいのかな)
それなら少しでもスランプが長引いてほしいと願うのは、間違ってるだろうか。
「あのお、お隣いいですかあ?」
不意に強く甘ったるい匂いがして、顔を上げるといつの間にか西沢が座っていた席に新人の巨乳社員がいた。さっきまで彼女を囲んでいた井上たちはあからさまに不満げな視線を送っている。
「あ、あれ? 西沢は……」
「うふふ。普段全然話せてないから、今日楽しみにしてたんですけどお……長崎、さん? ですよね」
「うん」
視線を巡らせると少し離れた席で笑いながらこちらを見ている。どうやら、してやられたらしい。
(つーかこの子の鼻ってどうなってんの)
強い香水の香りに鼻がイカれそうになりながらも笑顔で返すと、美和は俺の腕におっぱいを当てながらウーロン茶のグラスを取った。
おっぱいの感触は嬉しいが最近は特に、こんなグイグイくる女の子と接しないから、圧倒される。
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