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「お前、どうするつもりなんだ」
先生が云う。担任の故宿先生が、どうしようもない奴に向ける目を僕に向けていた。
生徒に向けていい様な目じゃねえ。おお、ちょっとした殺意まで滲み出てませんかねえ。
いや、分かるよ。分かります。
ちょっとふざけすぎでしたね。僕が悪かった。
だから、その目力の出力を絞ってもらえませんかね。泣きそうです。
こえーよ。殺し屋みたいな目ぇしやがって。
「お前さ、マジ……」
おっとー? その言葉に出来ない感じは、言葉にしてしまうと色々と問題になるからでしょうか?
教師というのは大変ですね。
場所は夕暮れ時の教室。
美人教師と二人っきりというのは、かなりそそるものがあると思うのです。先生が殺意の波動に目覚めたみたいな目をしていなければ。
「はぁ」と、故宿先生がいつものきつめの表情から、疲れたみたいな表情に変わります。よくされる顔だ。
色んな人が僕にその顔を向けてくる。
「なあ、蕪無」
僕を呼ぶ先生が、煙草を吸いたそうにしていた。あんまり生徒の前では吸いたくないのかな。
「蕪無 薫」
故宿先生が僕の名前を呼んだ。僕が、13年間付き合ってきた名前で、これから先も付き合っていくであろう僕の名前。
100年くらい。
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