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「お前のせいでな、校外マラソンは廃止にしようって声が会議で出るようになったよ」
まぁ、2時間も空き地の猫と遊んでたからなー。20年に1度くらいの比率で発生する事故だと思えば、見逃して欲しいところではあるよね。
逆に、我が校に20年に1人の逸材が現れたとでも思ったらどうだろうか。なんて。
口に出して云ったら、さすがにぶっ飛ばされるのは目に見えてる。思っても、口に出して云えない時ってあるよね。
なんだか、何も云えなくなる。云わせない、のかな。
先生が。
「それを云ったら承知しねえぞ」みたいな。「云ったら、てめえマジでぶっ飛ばすかんな」って雰囲気。
目で語ってくる。たぶん、背中でも語れるタイプ。
これだから武闘派は。
「なぁ、その…………お前は……どうするつもりなんだ?」
故宿先生からの、躊躇う様な質問だ。だったらしなけりゃいいのにさ。
「もう、来年には中学も最終学年なのは分かってるか? いつまでも中学生じゃいられないんだぞ」
分かってる。んなこと分かってるんだよ。
でも、けど、だけどさ。追い付かないんだ。
今、やらなきゃなんない事と、今、やりたい事がさ。僕の精神と肉体……いいや、世界だな。
この場合。
僕の精神の速度と、世界の速度が一致してない。
大人になっていく準備よりも、今はまだ、目の前の事に夢中になっていたいんだ。
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