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著者あとがき
著者あとがき
銀星紀行詩とは、特権者を名乗る姿無き知的生命体との確執を歌った物である。元原作者と呼ばれる人物はいるが、
偽典、写本、外伝などが無数に存在し、写本も時代によりバージョンが異なるため、正典に纏めるのは困難である。
なぜなら、戦闘純文学を操る術者たちにとって、伝承すらも、魔道のスクリプトであるからだ。ゆえに、内容は変遷する。
例えるなら遠い昔、ベトナムで歌われていた解放戦線の兵士たちの歌に近いだろうか。
自称「人類の天敵」と妖精の闘いが起こるたびに、新しい歌が作られ、妖精と人間の少女たちはいかに可憐に戦ったか、
いかに共通の利益の為に、同性同士の愛情を武器として用いたか、伝承されるのだ。
しかし、歌は心が伝わればよい。確率を自由自在に操ることを武器にする特権者にとって、これほど攻撃しにくいものはないだろう。
ゆえに、指令や報告書を兼ねていたと推測される。
これは、その断片である。
実験航空宇宙考証軍 妖精工学研究所 客員研究員 ジェーン・シャーロット
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