夏風邪

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この間、病院の売店の前で小さい子供がアイスを持って走っていた。 僕はあー何このありがちな転んでアイスぶちまけるみたいな展開とか思っていたらまぁ僕の予想通り、見事にアイスをぶちまけた。 泣きじゃくる子供。 「あーらら、アイスおっことしちゃったの?」 「ひっく、私のアイス。。」 「ねぇねぇ、おねーさんね、魔法使えるんだ」 「ま、魔法?」 「うん。そうだよ、おねーさんと一緒に60秒カウントしよう?」 嫌な予感。 そう思った瞬間、那月に目で買ってこいと言われた、 僕は渋々早足でアイスを買いに行った。 「3、2、1、!!」 「やっぱり、魔法なんてないんだよ。だって、なんも起きないよ?」 「そんなことないよ?ほらっ」 そう言って那月は僕を指さした。 「え?」 渡せ。と目で言われた。 「ほ、ほら。どうぞ」 ぎこちない声と動作でその女の子にアイスを渡した。 その子の顔はぱぁっと明るくなって 「お兄ちゃん、お姉ちゃんありがとう。」 と言われた。久しぶりにありがとうなんて言われた。 少し嬉しかった。 「やっぱり、こうゆういいことはするべきだねー、玲於よくやった!!」 そう言っていた那月は僕の背中をバシッと叩いた。 少しだけ、嬉しかった。 何に嬉しかったって、なんだろうな。 那月に、触られたこ...違う そうだ言っとくけど僕は那月のことを好きとかじゃない。 それに素直になれない訳でもない。 違う。違う。そうだ違う。
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