君に捧ぐ花

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これは震災により仙台が被害を被る前の話。 仙台市のあるところに一人の少女がいた。 少女は小学校で軽いイジメを受け、それ以来、不登校になっていた。 少女の両親は少女に保健室登校を勧めたが少女は首を横に振った。 そんなある日、家の前に一輪の花が置かれていた。 それを発見したのは少女の母親だった。 それ以降、毎日、家の前に必ず花が置かれていた。 花は毎日、違っていた。スミレの時もあればタンポポやシロツメクサの時もあった。 母親は誰が花を置いて行くのか気になり朝、こっそり様子を伺った。 毎朝、花を置いていたのは近所に住む娘のクラスメイトの少年だった。 母親は少年に声をかけた。 「何故、君は毎朝、家の前に花を置くの?」 少年は答えた。 自分は少女とまた一緒に学校に行きたいという思いから毎朝、花を置いていたと。 母親はその事を娘に伝えた。 その日以降、少女は毎朝、二階の自室から花を置く少年を目つめた。 季節は変わり花の本数が100本を超えた頃、少女は再び少年と共に学校へ通いだした。
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