夜霧の20時

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
その日は薄らと霧のかかった夜だった。 桜も咲き始め暖かくなり春を感じていたが夜ともなるとやはりまだ肌寒い。そんな事をぼんやり考えながら歩いていると目の前を1匹の白い猫が通り過ぎた。 「猫人の前を急に横切るなんて危ないよ」 猫に一言かけると猫は立ち止まりこちらを振り向きぺこりと会釈をし再び歩き出した。律儀な猫だ、そう思ったが律儀なだけではなく何かが妙だ。そう、猫はその口に小さなトランクケースのようなものを咥えていたのだ。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!