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桜に見惚れる21時
空き地は草が生い茂り周りには古びた建物に囲われ鬱蒼としている。怖いという気持ちもあったが空き地の中央にそんな恐怖を忘れるくらい、不釣り合いなほど美しい桜の木が1本だけそびえ立っていた。
桜に見惚れる私をよそに猫は桜の木の下でトランクケースを開き、中から小ぶりな乳鉢を取り出した。
突然のことであった。「さあ、働いてもらうよお嬢さん」白い猫が人の声で、人の言葉で喋ったのだ。呆気にとられてあると白い猫は呆れた口振りで「なんだい、返事もできないのか?」と言いながらこちらを見ている。
頬をつねってみたが痛い「……はい、手伝います?」どうやらこれは夢ではないようだ。
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