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柳原「でしたら、早いうちに少しでも絹を作って売って資金に充てるのが良いのではないでしょうか」
長谷川「でも本多さんが、 設備が大掛かりな方が生産量も多くなるって」
柳原「 実際に作るところを見たいのです」
長谷川「なぜです。 インチキだとでも。田舎者は無知だからインチキが見破れなくて騙されそうだから、お偉い博士様が助けてやろうと、こういうわけですか」
はっきり怒りの色が長谷川の顔面に現れている。
柳原「いえ、そういうわけでは」
長谷川「 大体、あなたはどういう資格と権限でお調べになろうというのですか。 あなたが出資なさってるとでも言うのならば分かりますけれどもね」
柳原「わかりました。そうおっしゃるのでしたら、私も少額ながら出資いたします。その上で実際に藁を絹糸に変えるところを見せていただきたい」
長谷川「まあそういうことでしたら、否やは申しますまい」
柳原「では。場所と日時は後日改めて打ち合わせるということで」
× ×
藁を改めて何か仕掛けがないか調べる柳原。
同じように鍋、竈、薪、水、それから本多が持っている薬瓶を調べる。
本多、表情を変えないで柳原のチェックを眺めている。
長谷川ほか、数人の村人が立ち会っている。
柳原がチェックを終え、 軽く頷く。
本多が 作業を始める。
じっと見張っている柳原。
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