シナリオ

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というか、これは死者たちの召喚の儀式なのだ。 白衣を着た科学技官が隅に来て立つ。 郁子がするすると黒子のように寄ってきて、手にした巻物をカメラに向かって広げる。 「柳原博光 化学技官 軍需局課長」 さらにやはり白衣を着たやや年下の技官がその傍らに立つ。 同じく千鶴子が巻物が広げる。 「榎本隆一郎 化学技官 軍需局係長」 うって変わってなんともいえない派手で怪しげな恰好をした男たちが入ってくる。 ひょろっとした植物的な男と、がっちりした格闘家体形の男。 それぞれにやはり巻物で注釈がつけられる。 「本多維富 発明家」 「東勝熊 柔術家」 柳原と榎本と相対するように立つ。 まるでボクシングのチャレンジャーとチャンピオンの対戦前の光景のようでもある。 さらに続く。 「山川信吾 海軍中佐」 「一条実孝 公爵 海軍少佐」 左右対称に、これまで入場したきた男たちのやや上座にあたる位置につく。 また二人、民間人の入場。 「植村澄三郎 実業家」 「高窪喜八郎 天津教教祖 弁護士」 トリという感じで、いかにも偉い感じの軍人二人が入ってくる。 「山本五十六 大日本帝国海軍少将 のち 二十七代連合艦隊司令長官」     
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