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山本「では、水から石油を作る実験、開始っ」
T「水から石油を作る人」
柳原、憮然とした調子でカメラに向かって語りかける。
「バカバカしい。バカバカしいのにも程がある。なんでこんなことをしなくてはいかんのだ」
語りかける間、集まった人間たちは能の演者のようにぴたっと動きを止めている。
柳原「私があの本多という男と会ったのは、もう十年以上前、大正十四年のこと、ところは山形県庄内だった」
〇 ひなびた農村(以下、カラー)
稲を刈り取った後の田んぼが広がっている。
〇 農家・前
大きな鍋が用意され下に薪が並べられ、その傍らで種火が熾っている。
集まっている村人たち。
積み上げられている藁束。
本多「ここにこの村から出た藁があります」
と、藁を集まった一同に見せてから鍋に入れる。
鍋にはすでに水が張ってある。
本多「それから、取り出しましたる私が発明いちしましたこの秘薬」
と、取り出した物々しい容器から何か加え、蓋をする。
本多「これを加えまして、煮立てまする」
火を熾して煮る。
村人たち、じっと注視している。
ややあって蓋を開けると、中が白っぽいふわふわした物に一変しているので、村人たちが驚きの声を上げる。
棒で中をすくって引き上げると、糸状のものがひっかかって上がってくる。
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