シナリオ

4/44
前へ
/46ページ
次へ
山本「では、水から石油を作る実験、開始っ」 T「水から石油を作る人」 柳原、憮然とした調子でカメラに向かって語りかける。 「バカバカしい。バカバカしいのにも程がある。なんでこんなことをしなくてはいかんのだ」 語りかける間、集まった人間たちは能の演者のようにぴたっと動きを止めている。 柳原「私があの本多という男と会ったのは、もう十年以上前、大正十四年のこと、ところは山形県庄内だった」 〇 ひなびた農村(以下、カラー) 稲を刈り取った後の田んぼが広がっている。 〇 農家・前 大きな鍋が用意され下に薪が並べられ、その傍らで種火が熾っている。 集まっている村人たち。 積み上げられている藁束。 本多「ここにこの村から出た藁があります」 と、藁を集まった一同に見せてから鍋に入れる。 鍋にはすでに水が張ってある。 本多「それから、取り出しましたる私が発明いちしましたこの秘薬」 と、取り出した物々しい容器から何か加え、蓋をする。 本多「これを加えまして、煮立てまする」 火を熾して煮る。 村人たち、じっと注視している。 ややあって蓋を開けると、中が白っぽいふわふわした物に一変しているので、村人たちが驚きの声を上げる。 棒で中をすくって引き上げると、糸状のものがひっかかって上がってくる。     
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加