良い子。

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良い子。

中学生の頃。とかく近所の大人の方から 「みゆちゃんは、本当に妹ちゃんの面倒を見て良い子だねっ。」と良く言われてきました。 でもね、その言葉の中に絶対付け加えられる一言があったのです。 「お父さんがいないのに、すれないで」 。。。。。 みゆさんは、その一言に本当に傷ついていました。 「片親だとすれるの?」 「良い子って何?」 って。。。 実際、妹の面倒を見ているのは日常で、すれるなんて時間もありません。 その時代は、今のように「シングル」と言う言葉もないし、両親揃ってと言う認識が今より強かったのではないかと思います。 みゆさんは当時、その「片親」「すれる」と言う言葉に酷く傷つき、いつしか周りに心を閉ざすようになって行きました。 あの当時、中学校や高校のクラスの連絡網の記載に 電話番号と一緒に、保護者の名前も記載されていたんです。 みゆさんはクラスのみんなに、「片親」と言う事を知られたくなく、連絡網が配られる時には 「どうかこの時間が早く過ぎ去って。早くみんなカバンに入れて」と、 傷つきから恥ずかしさへと変わっていきました。 今考えると、何で恥ずかしいと思っていたのか良くわかりません。 両親が揃っていてもいなくても、すれる子はすれるんです。親は関係ありません。 母の一生懸命頑張っている姿。そんな中でも笑顔が絶えない家族。そんな環境で子供が成長していけば 「すれる」って言葉の存在さえも無いのです。 近所の方々は、みゆさんに良かれと思って言っていたのは良くわかってはいたのです。 ただ、それまで父がいないからなど考えてもいない「自分」が 「ああ、「自分」は父がいないんだ。片親だけしかいないと、大人はそう思うんだ」 と言う事に愕然とし、実際の「自分の置かれている環境」を実感していました。
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