兄。

1/1
前へ
/16ページ
次へ

兄。

みゆさんには1つ歳の離れた兄がおります。 小さい頃から体も大きく、正義感のかたまりの様な兄でしたので、友達がいじめられていると聞くと、走って行って、いじめっ子をやっつける。そんな兄でした。 父が野球チームのコーチをしていた事もあり、小学1年生の頃から野球チームに入り、父から野球を叩き込まれておりました。 そして、突如の父の死。 兄は父の遺志を引き継いで、野球の道に突き進んでいきました。 学校生活では容姿が良く、運動神経が良く、兄貴肌の兄。 かなりモテていましたねっ(笑) アイドルの誰々に似ているとかっ(笑) 家に一度テレビ局から電話がかかってきて、その当時カッコいい男の子を紹介する番組がありました。 何処からか、兄の事を聞きつけたらしく 「テレビで紹介させていただけませんか?」との内容っ(笑) 兄は全く興味なかったので、あっさり断っていましたけどねっ(笑) 高校生になると、みゆさんは違う高校だったので聞いた話しなのですが 「勇吾様」と女子から呼ばれていたらしいですっ(笑) 高校野球の北海道大会では、兄はピッチャーで四番です。そしてこの容姿です。 応援しに来ている同じ学校の女子からは 「勇吾様ーーーっっっ!!」と ひときわ黄色い声援を受け、北海道大会の決勝戦まで昇り詰めていきました。 その頃のみゆさんは、 「勇吾の妹」です。 中学生の頃は、勇吾の妹を見に来る兄の友達が多く みゆさんを見に来て 「どうだった?」 「普通。。。」 聞こえてるって!!(汗)とみゆさんは思いながら学校生活を送っていました。 同じ学年でも、兄にファンが多く 「勇吾くんのネームプレートをちょうだい」とか ぼたんをちょうだい。とか。。。。。 みゆさんは兄のマネージャーでもなんでもないのに、兄の事での頼まれ事が多かったなぁ。 学校では完全に「勇吾の妹」です。友達ですら兄の話になるので、やっぱり勇吾の妹の友達なのです。 実際、みゆさんもそんな兄に優越感はもっていました。兄がいたおかげで、隅っこでも兄の光に入っていたのでね。 でも、ここでもやっぱり「自分」はありません。 家では「お姉ちゃん」。 学校では「勇吾の妹」なのです。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加