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再会は翌日の夜だった。 玄関のインターフォンが鳴り、香子だったら嫌だなと思いながらモニターを見た。 見た瞬間、心が躍り出すのが判った。 昨日の男性だった、莉子は震える手でインターフォンの受話器を取る。 「はい」 声も震えていた。 『あの、藤堂(とうどう)と申します。済みません、昨日のお詫びに来ました』 心地よく響くテノールの声に、莉子は聞き入りそうになった。 「あ、いえ……勘違いなのは判りましたから、そんなお詫びなんて……」 『いえ、折角作ってきましたから、是非受け取ってください』 「……作る?」 『はい』 それ以上は会って話すとでも言いたげに、藤堂と名乗った男は手に持った紙製のやや縦長の弁当箱を持ち上げた、金属製の持ち手もついている。 いつもなら断っていただろう。 しかし莉子は大きな疑問も持たず……いや、もう一度くらい逢いたいと、玄関へ向かっていた。何を持ってきてくれたのかも気になった──いや、彼そのものが気になっていたのだが、それは莉子自身も気付いていなかった。 サンダルをつっかけ、玄関を開ける。 昨日とは打って変わって、穏やかな笑みで男は莉子と対面した。 「夜分に済みません」 男はまず謝った、もっとも莉子にとっては夜の十時など昼間に近い、首を左右に振って応える。     
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