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一階のロビーにあるメールボックスは部屋の順番に並んでいる、莉子の部屋の真上、最上階に当たるボックスには名前は無く刻印された部屋番号しかなかったが。 そこへ、そっと手紙を落とした。 ついでに自身のメールボックスも確認する、三日ぶりに覗いた中身はチラシばかりだった。 *** 翌日も同じような時間にインターフォンが鳴った、今日は不思議と嫌な気分にはならなかった。 モニターに映る藤堂の姿に安堵と確信を覚えて、莉子は素早く受話器を取った。 「はい」 そんな気配はさせずに、応答する。 『藤堂です』 言って今日も手に持っている弁当を少し持ち上げた。 「今、行きます」 はやる気持ちを懸命に抑えて、莉子は玄関へ向かう。ドアを開けると、藤堂は破顔して出迎えた。 「お手紙、ありがとうございます」 言われて莉子は赤くなった頬を隠すように俯き、頭を左右に振った。 未明にしたためた手紙には、美味しい弁当をありがとうございます、と礼を書いただけだ。 「嬉しかったので、また作ってきてしまいました」 「でも、シェフをしていらっしゃるなら、料理がおいしかったなんて、いつも言われているのでは……」 「まあ、そうですけど。でもお手紙を頂いたのは初めてですね」 莉子はますます赤くなって俯いた。 「ごめんなさい、催促みたいでしたか?」     
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