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「で、電気、消して……」
莉子が言うと、尊は小さく笑って、莉子の首筋に押し当てていた唇を離し体を起こした。
部屋の電気は消したけれど、ベッドサイドにあるシェードランプは点いていた。それに手を伸ばして消すと、暗闇が訪れる。
天井の常夜灯だけは点いている、莉子はまだ暗さに目が慣れず尊の顔がよく見えない。
尊は指先でそっと莉子の頬を撫でて、身を屈めて唇にキスを落とした。
先程は触れるだけで離れたキスが、今度は舌が──莉子が戸惑って反応に困る間に、歯を押し退けて侵入してくる。
恥ずかしさに身を固くする莉子の体はまだ衣服を身にまとっている、それ越しに撫でると細いが柔らかい体を感じられた。
「……や……」
脇腹から腰に触れただけで、莉子は怯えたように体を震わせる。
「あ、あの……やっぱり、また今度に……!」
顔を背け、尊の肩を押さえながら声を上げる。
「また、そんなこと言って」
尊は目の前で微笑みながら言う、意地悪な笑みを。
「そんな姿の莉子見て、我慢できると思ってるの?」
意地悪に笑う尊からは逃げられない、それを知っている莉子はただただ戦慄した。
花村莉子、25歳、初めて好きになった藤堂尊に処女を捧げる覚悟が、早くも揺らいでいます。
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