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「ええ!? また!?」
『デビューシングルのカップリングにしたいんですって。なんたって、その名を轟かせるCaccoの弟分としてのデビューでしょー? 後ろ盾が欲しいみたいで』
「でも、香子のバンドのアルバム曲のも来月中でしょ! まだ半分も終わってないよ!?」
『あーそれは困ったわね、でもいいわよ、うちらのは少しくらいずれ込んでも。レコーディングは遅らせてもいいし。デビューの子達のを来月末まででお願いね、一曲だもん、なんとかなるでしょ?』
「そんな勝手な……!」
『頼んだわよー』
電話は莉子の言葉を聞かずに切れた。
莉子は大きなため息を遠慮なく吐いて、机に肘をついて頭を抱える。
*
莉子は、姉・香子のゴーストライターだ。
姉の肩書はシンガーソングライターと言うもので、アマチュア時代はきちんと作詞作曲を手掛けていたが、プロデビューしてからは歌う時はCaccoを名乗り、作詞作曲をする時はKKを名乗るようになった。
実はそのKKとは莉子の事であることは、事務所の社長しか知らない。
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