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それがまた大ウケで、お金になるとでも思ったのだろう。カバーだけに飽き足らず、楽曲を提供し、プロデュースまで買って出るようになった、その才能はあったらしい、仕事の量は確実に増えている。
テレビからCacco本人の声と、プロデュースした歌手の歌声を聞かない日はない。毎月新譜も発売される。
「Caccoさん、忙しいですけど、体調管理はきちんとされてます?」
とある番組でMCのアナウンサーに聞かれて、香子は笑顔で答えていた。
「むしろ忙しい方が性に合うみたいで! 毎日が楽しいです!」
忙しいのは半分だろう、と莉子はテレビに映る香子に毒気づく。確かにプロデュース業と自身の歌手業もあれば忙しいだろうが、それでも香子自身が曲も作っていたら、こうは働けないだろう。
勝手に仕事を取ってきて、あとはよろしくと押し付けていく。
多すぎる、と文句を言ったが、
「あなたは作っていればいい、後は私が働くから」
それは間違いない、家から一歩も出ずにお金を稼げている現状は捨て難い。
文句は山ほどあっても、今は居心地だけはいい。
人との接し方を忘れた莉子に、表でにこにこと働いてくれる香子は有り難い存在なのは確かだ。
だから。
諦めて働く、求められている音楽を作り続ける。
溜息をひとつ吐いて、ヘッドホンを着けようと持ち上げた時、玄関の鍵をがちゃがちゃといじる音がした。
「ん? 香子?」
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