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目が覚めると、薄暗い天井が見える。毎日毎日同じ天井を見ているが、あまりにも暗いそれに、起きているのかまだ夢を見ているのか分からなくなるときがある。そしてしばらくするとぼんやりとしていた意識が少しずつはっきりしてきては。
――ああ、今日もまたこの天井か。
そう思うのだ。
布団から起き上がってはそれを片付ける。片付けると言っても、ここにはベッドなんてものはないし、剥き出しの土の上に横たわって布団をかけて眠るだけの質素なものだから、ただ布団を畳むだけでその作業は終わる。
「テル、おはよう」
「ヨシハル。おはよう。まあ、今が朝かなんて分からないけどな」
「それを言うなって」
扉もなく、プライベートなんてものは皆無な部屋を出て廊下に出ると、隣人で友人のヨシハルが声をかけてきた。
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