深碧

5/8
前へ
/28ページ
次へ
2日後… 前王と皇太后の処刑の日。 皇太后は侍女を連れて逃げようとしていたのを捕えた。 今は牢に繋がれている。 やっと此処まで来た。 王座を撫で、そこに座る。 此処は私の場所だ。私が生まれた時からそう定められていた。 女として、姫として隠すように育てられてきたのも、 母上様が自分を犠牲にしてまで私を刺客から逃したのも、 反王派を集めて組織したのも、 今日、兄と義理の母を殺すのも、 全て、この冷たい椅子に座るためだった。 くだらない そう呟く声に、力は入らない。 真藍、処刑の時間だ。広間へ来い。 私が王になっても、二人しかいないときは変わらずに振る舞う、自らの右腕に苦笑する。 五年の間、私を支えたのは彼であった。 大丈夫か? 顔色の悪いであろう私を心配しているのだろう。 大丈夫だ。 一言応えるが、彼は信じていないようだ。 行かなければならない。私が逃げるわけにはいかない。 此処で逃げれば、諸侯に示しがつかない。私は、王なのだから。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加