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真旻の瞳は酷く穏やかな色を湛え、引き摺られることもせず、自ら歩いて広間へとやってきた。縛られているのも手のみで、他は自由であった。
何か、言いたいことは?
余りに潔い姿に、民衆も諸侯も驚きを隠せてはいない。
何とも利発な兄らしい、晴々とした姿だ。
世が違えば、或いは、せめて母があの毒婦でなかったのならば、彼も王者としての才覚を現していたのかも知れない。
母と私を止めてくださり、ありがとうございます、陛下。あとは貴方に任せます。____貴方の治世が万の世に渡りますように。
嗚呼。何とも悲しいことだ。
どうして私たちは、このような目に遭っているのだろう。
かつては仲の良い兄妹であった。
妹として私を可愛がってくれた兄に対して、どうして刃を振るわなくてはならないのだろう。
そなたの気持ち、有り難く頂こう。
首を垂れる兄上様を、私はただ涙を堪えて見つめることしか出来なかった。
第11代国王、真旻は、母 嫩妃の横暴を許し、治世を乱し、臣民に苦を与えた。よって、第12代国王、真藍が斬首刑を与える。
滔々と響いたその声に、崩れ落ちそうになるのを堪えた。
兄上様と呼びたい気持ちを抑えて、冷たく硬い椅子に座り続ける。
嫩妃とは違い、真旻はどこか清々とした顔で、斬首台に立った。そしてその首に刃が当たり、頭と首が離れた。
民衆の歓声が、遠くから聞こえた。
どうか、兄上様が安らかに眠れますように。
私はただそれのみを願った。
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