椎名家料理史

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 その後も滞りなく予定を済ませ、少ない趣味でありストレス発散法であるゲームをしているときが得も言われぬ快感を得て毎度毎度このゲームの中に入り込みたいと思ってしまう。もちろん、のめりこむとか没入するという意味ではなくて、その世界で生まれ変わりたい、生きてみたいといった意味であったんだが……。 『なんでこんなにも殺伐としたゲームが多いのかね……。』 最近は一人称視点の戦闘ゲームが多くなってきて数少ない逃げ道も減ってきているようでならない。正直私の感想としては血まみれのおっさんを見て何が楽しいのやらといったところだが……不思議とそういったゲームもプレイしたりプレイ動画を見ていることがある。昔は剣や魔法の世界に憧れていたけれど、それだってモンスターや盗賊なんかを討伐するために使っているから面白いのであって、何もない世界で魔法があったってなんとなく物足りないのかもしれない。 ただ、そういった世界がリアルになって血が出る描写や剣や魔法が、ナイフや化学兵器に移り変わっただけで本質は変わりがないということだろうか。きっとそういうことで幅広くのジャンルのゲームをプレイしてきた。 『ちょっと、幸村!行け行け行け!今ボタン押した!ねぇ押したって!あーーーーもう!!!』 勢い良くコントローラーを投げ、ゲームの電源を落とし、気付かぬうちに乾いた喉を潤すため、キッチンへ向かう。 『ストレス発散でストレス溜めてちゃ世話ないよね!』 あーーくっそー、呟きながら冷えたグラスに氷を入れ、焼酎をグラスの4分の1まで注ぎ、炭酸水を勢いよく注ぎステアもせずに煽り飲み、同じ用量で2杯目を作ってパソコンの前へ持っていく。 『誰が浮気しようが不倫しようが良くないか?暇なんだな。にほんへいわばんざーい』棒読みでネットニュースにツッコミを入れ今日食べたもの、作ったもののリスト作成を済ませ公式サイトでアニメをチェックする。 『酒飲みアニメか……あー分かるなぁ鮭の皮で日本酒をちびちびやって身を食べて……』 呟きながら、鮭の皮が嫌いな人や生臭さを残した調理しかできない人を思い出し憂鬱な気分となっていく中、5杯目の酎ハイをあけて眠りについた。
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