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「大変です旦那様!怪盗予告です!」
ずっと、手に入れたいと思っていた。
「何が盗まれるかわかるか!?」
「いえ…一番大切なもの、とだけ…!」
あれほど美しいものを、僕は他に知らない。
真っ白で…つややかで…
昔は何度も見ていた。だが僕が大人になる頃、屋敷の奥深くに隠されてしまった。
「宝は全て倉庫にしまって鍵をかけろ!それから見張りをつけるんだ、急げ!」
いじめられっ子の僕に、無邪気な光で勇気をくれたものだった。
どうして隠すの?そんなに大切だから?
「施錠しました!」
もし手に入れられたら、西欧州へ逃げよう。そこならきっと追ってこれまいし、誰にも顔はバレないだろう。
「…おい、あいつはどうしている?ちゃんと部屋に鍵はかかっているだろうな?」
「見てきます!」
僕は屋敷の奥に辿り着いた。
…ああ、楽しみだ。
今まで無理だった分、たくさん、
たくさん素敵なもの、新しいもの、一緒に見つけていこう。
僕が掴むと、手のひらを温かく握り返してくれた。
「…ずっと、会いたかった!」
「旦那様!お嬢様が…どこにもいらっしゃいません!」
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