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僕はカンナの正面に座り、コーヒーを一口すするとカンナのポテトを一本つまんだ。
「あ、たべた」
上目遣いに僕を威嚇し、すぐまたビックマックに戻っていく。
口の周りがソースまみれになっているが、まるで気にした様子はない。
そんなカンナを見ているだけで、僕は楽しくて仕方なかった。
「たべたらどうぶつえんいこ」
ビックマックを食べ終え、カンナはバーベキューソースまみれのナゲットをほおばった。
「動物園だと電車に乗ることになるけど、いいの?」
「あ、ばかにしたでしょ」
カンナにまたにらまれた。
以前電車に乗ろうとしてカンナが子供料金になるかどうかで議論したことがあった。
結局は大人料金で乗ったんだけど、その時のことをカンナは今でも根に持っているのだ。
「じゃ早く食べて動物園行こう。手伝おうか?」
ポテトをつまもうとした僕の手を叩くと、カンナは急いでポテトを食べ始めた。
次の日、朝も早い時間から活動を始めたカンナに起こされ僕は窓を開けた。
強い日差しが寝ぼけた僕を照り付ける。
そっか、しばらく初夏の陽気になるって言ってたな。
昨日の天気予報を思い出し、ぼーっと外を眺めていると、
「トシ、早く着替えて出かけようよ」
ふくれっ面のカンナが僕をにらみつけてきた。
「わかったよカンナ、すぐ用意するから待ってて」
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