宿り木

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宿り木

うららかな春の日差しが、まだ肌寒い朝の神社に降り注いでいた。 木々も新緑に染まり、今が春であることを実感させてくれる。 ようやく咲き始めた蕾ばかりの桜の木によりかかり、僕は待っていた。 「おまたせ」 後ろから声がかかり僕は振り返る。そこには懐かしい笑顔が輝いていた。 「お帰り、カンナ」 僕はどこか幼さの残るカンナを引き寄せると、うれしくなり抱きしめた。 「いたいよトシくん、ぎゅーつよすぎ」 文句を言うカンナ。負けじと細い腕で僕の体を抱きしめ返してくる。 「会いたかった」 華奢なカンナの体は力いっぱい抱きしめたら折れてしまいそうで、それでもかまわず僕は抱きしめた。 「ねぇねぇ、おなかすいた」 そんな僕の気持などお構いなしに、カンナは僕を見上げて無邪気な笑顔を見せる。 「いきなりそれ?!」 「うん。いこ」 カンナは僕の腕を振りほどくと、僕を引っ張って歩き出した。でも頑張って引っ張っている割には全然進まず、時折よろけては踏みとどまっている。 しょうがなく僕もカンナについていく。 そんなカンナを見るのがうれしくて僕は一人ニヤけていた。 しばらく歩いた後、カンナはきょろきょろあたりを見回し小首をかしげた。 「マックない」     
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