歌声を追って

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 高校に入学し、合唱部に入るととても歌の上手い先輩がいた。部活内で唯一の男子で、とてもよく伸びるテナーだ。  私が入った時、既に先輩は三年生だったので、一学期で引退してしまうのかと寂しく思っていたけれども、先輩は結局、秋の文化祭まで合唱部での活動を続けていた。  高校に入って数ヶ月間、ずっと先輩のテナーを聴いていて、その声から離れがたく思っていた。  受験間近まで合唱を続けているなんて、先輩は将来歌手になるのだろうなと言う確信だけがあった。卒業式のその日まで、先輩の連絡先を知る事は無かったけれど、音楽を続ければまた会える気がした。  先輩に会えなくなって数年、私は歌手として舞台に立った。  きっとまた先輩に会える。
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