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通話を切ったものの置く気にもなれなくて手にしたままの子機が、また鳴り出した。
キッチンから、電話出てー!というお母さんの声が聞こえる。
のろのろと通話ボタンを押す。
耳に当てると、シロクマの声がした。
「面倒とかじゃなくて!ただ、もっと自由に、その、電話とかメールとか出来たらなって!」
慌てる声は、少しだけガサガサとした乾いた声で、これもまた初めて聞く声だなと思う。
「……先輩、私以外が電話に出てたらどうするんですか」
「あ、……そうか、そう、だね」
笑う。
「先輩、スマホ買っても電話してくれますか?」
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