5/5
前へ
/5ページ
次へ
通話を切ったものの置く気にもなれなくて手にしたままの子機が、また鳴り出した。 キッチンから、電話出てー!というお母さんの声が聞こえる。 のろのろと通話ボタンを押す。 耳に当てると、シロクマの声がした。 「面倒とかじゃなくて!ただ、もっと自由に、その、電話とかメールとか出来たらなって!」 慌てる声は、少しだけガサガサとした乾いた声で、これもまた初めて聞く声だなと思う。 「……先輩、私以外が電話に出てたらどうするんですか」 「あ、……そうか、そう、だね」 笑う。 「先輩、スマホ買っても電話してくれますか?」
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加