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手芸部の部室の窓の外。
夏休みの空には、きょうも入道雲があがってる。校庭の桜並木では、セミがジージーとうるっさい。
いつも校庭を支配しているサッカー部員は、県大会の遠征中で。だから、校庭がやけに広々として、照り返しが強く感じる。
誠……今ごろ試合かな……?
あたしは、作業台の前で、ため息をついた。
「一年なのに、補欠で入れてもらえた!」ってよろこんでたっけ。
夏休みなのに、誠としょっちゅう顔をあわせているから、こんなふうにガラガラの校庭は、空気の抜けたうきぶくろみたい。
ヨウちゃんも、どうしてるんだろ……?
「浅山にハグを呼び込む方法を考えてみる」って言ってたけど。
「綾ちゃん、ぐあいでも悪いの?」
顔をあげると、作業台の横に、有香ちゃんが立っていた。
パッチワークにする布を十枚以上広げて、ぼーっとしていたから。有香ちゃんに心配されちゃったんだ。
「あ、ううん。なんでもない。ただ『暑いな』って思ってただけ」
あわてて頭を起こしたら、雲の上を歩いているみたいに、頭の中がふわ~っとした。
「あ、あれ? やっぱ、なんかおかしいかも? 目の間がきゅ~ってなって、くらくら~ってする~」
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