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「い、いや……それは、逆にマズイだろっ!! 」
「なんで?」
今さらふたりきりで、緊張するような仲じゃないし。
あたしは、ヨウちゃんの部屋にふつうに入ったよ?
「な、なんでって……。よ、世の中には、常識ってもんがあってだなっ! オレだって、ガキじゃなくて、中学生なんだから。親が留守のカノジョの家に、勝手にあがるとか……。そ、そ、そういうふしだらことは……」
ヨウちゃんてば、こめかみから汗ダラダラ、ほっぺた真っ赤。
わけわかんなくて、玄関の前でぼんやりしてたら、頭がまた、ふら~っと横にぶれた。
「うわっ!! 綾っ!? 」
ヨウちゃんが、あたしの肩を支えてくれる。
「だ、だいじょうぶか? 倒れんな。わかった、部屋まで送る。おまえは早く横になれ」
「あ……ありがと……」
もう、サイアク。話さなきゃいけないことがあるのに、あたしの頭、ぐらんぐらん。
二階のあたしの部屋は、熱気がムッとこもってた。
「綾、冷房のリモコンはどれ?」
ヨウちゃんが、ローテーブルから、エアコンのリモコンを取って、冷房を入れてくれる。
体中の力が抜けて、あたしは自分のベッドに倒れ込んだ。
「ほら。親が帰ってくるまで、ちゃんと寝とけ。オレは帰るから」
「ま、待って……。あのね……。見てほしいものがあるの……」
あたしは、重い頭を持ちあげて、また体を起こした。ベッドのふちに足をおろして座って、自分の背中から力を抜く。
背中に、銀色の光の粉があつまっていく。
光の粉は、銀色のアゲハチョウの羽の形にかわっていく。
「綾……どうした、それ?」
ヨウちゃんのほおが震えた。
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