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は、破壊っ!?
「で、でもっ! 綾はオレのためにっ! 羽を守ってきてっ! そ、それなのにっ!! 」
思考回路が遠ざかる。指先が凍てつくように冷たい。
チチチチチチ……。
頭上からまた、スプーンとフォークをかちあわせるような声がきこえてきた。
「妖精……?」
そういえば、浅山の妖精たちはどこに行ったんだ?
ヒメはなぜ、書斎からフェアリー・ドクターのビンを持ち去ったんだ?
チチチチチチ……。
キンキンキンキン……。
チンチンチンチンチン……。
なんなんだ、これは?
無数の妖精たちが、空でいっせいにわめいているような……。
耳鳴り? 幻聴?
それとも……本当にどこかで……?
オレは制服の後ろポケットから、小ビンを取り出した。
「……葉児君、それは?」
「カレンデュラのドライフラワーです。花びらをかざせば、過去にその場所でなにがあったか見えるようになる……」
「透視能力か。でも、今、なぜそれを……?」
小ビンのコルクを抜いて、虹色の花びらを一枚、指先でつまむ。
「カレンデュラの花よ。この場所で数日間にあったこと。妖精にまつわることをうつしだせ」
細くて小さな花びらを、まぶたの上にかざす。
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