プロローグ

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「ふうと、塾行こうぜ」 「おぉ」 母さんが勤めるようになって通い始めた塾 なんて言えば聞こえはいいけど 要するに、家に帰っても誰もいないから無理やり通わされたんだ 最初は、母さんが迎えに来るまで待っていた教室 廊下 下駄箱……。 いつの頃からか 待ってもムダだと悟った。 俺を迎えに来る人も、必要としている者も居ないのだと分かり それ以来 適当に一人で帰るようになった。 なのに……。 何で今日に限って雨なんだ?! しかも傘忘れた。 『 雨が降るから傘を待って行きなさい!』 なんて言ってくれる人なんていやしない。 濡れて帰っても良かったけど、 あいつがいたから……。 いつも誰かが迎えに来るまで待ってるあいつ 誰が来るのか、本当に来るのか 相手は一度も見たことはないけど……。 雨の日に一人はきっと寂しいから 少しの間だけ ほんの少しだけ……。
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