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高校に入学して 俺は直ぐにこいつに気が付いた
髪を束ね、メガネを掛けてはいても大きな黒い瞳と猫毛のサラサラな赤毛は変わらない。
背はちっとも伸びてなくて……
と言うか、俺が成長し過ぎなのか?
まぁとにかく。
懐かしい、あの日のままのひながそこにいた
だけど こいつは俺に気付かない!
入学式の体育館。
わざとすれ違った廊下、下駄箱
足速に通り過ぎ振り返って見た校庭……
『 絶対に忘れたくない』
そう思えるほど好きなやつがいた小さなひな
今でもきっとその想いは変わらいだろう
それなのに、俺はたった数年で忘れられてしまった
分かってはいたけど この現実はかなりショックだ
あの雨の日、少しの間の暖かな記憶は
俺だけのちっぽけな思い出……
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