ねぇ、せんぱい。

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* 「おい!菜月ー!!」 「…拓也先輩、なんで高校に」 「いやぁ、お前が無事に音大に受かったって聞いて。よかったよかった。無事また俺の後輩だな!」 「…先輩、大学ギリギリだったって聞きましたけど」 「じ、実技はよかったんだよ!!筆記が苦手なだけで」 「…先輩、ヴァイオリン持ってますよね」 「おう、持ってるけど」 「久しぶりに、一緒に弾きませんか」 「お、菜月から言い出すなんて珍しい」 ねぇ、先輩。 私ね、たくさんたくさん考えたんです。 これから、先輩が卒業するまで私たちは相棒ですよね。 でもね、先輩。 私って割とわがままなんですよ。 「どの曲にする?」 「ー…最初に、二人でやった曲覚えてますか」 「あぁ、あれね、覚えてるよ」 「それがいいです」 「了解」 ー…愛の夢第3番/リスト 先輩はちゃんと楽譜を取り出してくれた。 あのときはまだ拙い演奏だったけれど、今ならもっといいものを作れるよね。 私は、先輩の、『一生の相棒』だから。 だから、もう少しだけ、夢を見させてください。 ー…ねぇ、せんぱい。
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