世界で二番目に

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「パパ、見っけ!」 真後ろから、あどけない鈴の音がした。 ギョッとして振り返る。 「エルサ!何でここに?」 「パパが帰って来ないから。探しにきたの」 「車に轢かれたらどないすんのよ!ママには」 「ママには黙って来たに決まってるでしょ?絶対に叱られるもん」 エルサは僕の娘。 三人兄妹で、唯一の女の子だ。 母親に似た雪のように真っ白な毛色で、飼い主が散々悩んだ挙句 「アナ雪」からエルサと命名された。 ネーミングセンスの無い僕の飼い主にしては、なかなかの名前を付けたものだと結構気に入っている。 「…パパ、ママのこと怒ってるの?」 エルサは跳ねるように僕の前まで走ってくると、上目遣いで聞いてきた。 「いいや」 子どもたちの前では平静でいたつもりだったのに、さすが女の子、勘が鋭い。
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