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花が落ちていた。 美しく茎の先を飾っていた時の姿を保ったまま、アスファルトに横たわっていた。 次の日もその花は落ちていた。 昨晩雨が降ったのに、昨日と変わらない美しさを保ったまま、アスファルトに横たわっていた。 誰にも踏まれずに、ひっそりと。 花は己を見てもらうために美しく咲くのだろう。 あの花は美しいのに、見て見ぬ振りをされている。 私には、あの花が憤っているように見えた。 だがあの花は知っている。 己が見て見ぬ振りをされる理由を。 知っていて、虚しく憤っている。 私は少しだけ足を止めた後、再び日常を歩き出した。
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